ゲストを驚かせる建築家の演出とは?

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家族をつなぐスキップフロアの家, 小田達郎建築設計室 小田達郎建築設計室 Modern corridor, hallway & stairs
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三重県を拠点に活動する小田達郎建築設計室に寄せられた、クライアントからの要望は「ゲストが来た際に驚いてもらえる様な空間であること」そして「家族のつながりを感じられる空間であること」というものでした。建築家はどのような「驚き」と「つながり」を作ったのでしょうか?さっそく見ていきましょう!

外観

住宅正面外観がこちら。切妻屋根に黒い外壁とダークグレーの塀を持つシンプルな形状の住宅です。正面はやや閉じられたファサードです。一見驚くようなことは何も無い普通の住宅に見えますが… 。

住宅側面

庭のある住宅側面からのアングルがこちら。黒い外壁やベランダの細い金属フレームの手すりが、クールで強い男性的なイメージを湧かせます。三階建てに見えますが実際は二階建て。この秘密は内部で明らかになりますよ。そして左手に見えるのが先ほどの塀。この塀と建物の間を進んでいくとエントランスポーチに辿り着きます。しかし、敷地に余裕が無いわけではないのにこれでは少し通路が細くありませんか?実はこれも建築家の演出テクニックのひとつなのです。

和風のエントランスポーチ

こちらがエントランスポーチ。黒い外壁に合わせたダークグレーの石材の床、表情豊かな石の腰掛け、奥には竹の植生がされており、和の美しさと穏やかさを感じられるエントランスです。黒と和風は相性がとても良く、伝統的な正統派和風にも、現代流にアレンジした和モダンどちらにも良く合い、スタイリッシュに仕上げてくれるという嬉しい色です。黒は暗くて重い印象になりそうで避けていたという方も、和風の建物を希望するならぜひ検討してみて下さい。階段は斜めのラインにすることでより友好的で歓迎されている雰囲気を作成。玄関ドアと庇の天井に使われた木材が温かみと家庭的な表情を加えています。

5mの吹抜け

そして玄関を抜けるとあるのがこちらの大空間です。メインの生活空間へとつながるこの吹抜け空間は高さなんと5m!先ほどの狭い通路のエントランスポーチも、このギャップを生み出すための演出テクニックだったのです。狭く小さい空間を経てからの突然の高さ5mという大空間は実際よりもさらに高く広く感じ、まさに「驚き」の広さをゲストは体感するのです。もうひとつの要望であった「家族のつながりを感じられる空間であること」についてはスキップフロア構成にすることで解決しました。この吹抜けの大空間を囲むように段差によって緩やかに分けられた各スペースが配されており、違うフロアにいてもいつも家族の気配を身近に感じ、また、回遊性のあるプランとなっています。

快適な内部空間

こちらは子供部屋です。こちらもスキップフロアによって各スペースとつながった開いた空間です。上部のロフトは秘密基地の役割を果たしているそう。オープンプランの大空間において気になるのは冷暖房に関してでしょうか。あまりに大きな空間は開放的で気持ちよくても冷暖房効率が悪く、エネルギーとコストの無駄遣いになる… 一昔前は確かにそうでした。しかしこちらの住宅では断熱材を吹付け断熱とし、サッシはペアガラスを採用。仕切りの少ないオープンプランですが空気容積を計算して空間を適度に分節することで、冷暖房効率を格段にアップさせ、雪の日でも床暖房のみで十分な暖かさを得ることが出来るという快適な内部環境を作り上げたのです。

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