特別な場所に建つ特別な家「東員の住宅」

Kiohde Hayai Kiohde Hayai
eclectic by 諸江一紀建築設計事務所, Eclectic
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家は様々な場所に建てられる。それは住宅地ばかりではない。時には場所の意味を考えなくてはいけない場合もある。今回家が建てられたのは森の中にある神社の横。家を建てるにあたって、たとえ制約がなくても、神社との関係を考える必要があった。このような家を手がけたのは諸江一紀建築設計事務所。建てられた家「東員の住宅」は場所の意味を取りこんだ素晴らしいものとなっている。

神社の横に建つ家

三重県の田園地帯の一角に小さな森が広がっている。そこには獅子舞や奉納相撲などの行事で地元の人に親しまれる神社がある。家が建てられるのは、そんな神社のすぐ横。家は森の横に建つため、その自然を楽しむことができる。だが同時にその中にある神社との関係を考える必要があった。

景観との調和が考えられた外観

こうした神社の関係がわかるのは建物の大きさ。家は大きさが異なる4つの箱が組み合わされたものとなっている。一部は2階建てなっているが、1つの大きな建物でないため神社よりも小さい。また外壁の大部分は木で作られているため、周辺の自然と調和を生み出す。このように外観から周辺環境を乱さぬように考えられたことがわかるだろう。

木が感じさせる暖かさ

家の中に広がるのは木を活かした暖かな空間。天井、床、壁などに木が使用されており、至る所で茶色の木を目にする。このような空間では自然の素材が持つ暖かさをたっぷり感じることができる。また木が生み出す優しい空間から、建物の横に広がる特別な森との繋がりを感じられるだろう。

広がりや開放感を感じさせる空間

家は箱を4つの箱を組み合わせた形をしているため、1つ1つの空間は決して広くはない。だがそこで閉塞感を感じることはないだろう。各部屋は繋がれており、広がりを感じられるようになっている。またダイニングルームには高さのある吹き抜けがあり、開放感さえ感じられる。このように神聖な森の横であっても、家は縮こまることはなく、ゆとりのある空間を生み出している。

神社や森との関係を生み出す窓

家の中には多くの窓があり、神社の森が見えるようになっている。例えば、ダイニングルームにあるのは四角く切り抜かれた窓。そこからは森がまるで絵画のように見え、日常的に森の存在を意識させてくれる。一方で和室が見せるのは、障子越し広がる森の姿。それは厳かな印象を与えてくれるだろう。このように日常的な場所として、また神聖な場所として、様々な形で森と向き合うことができるようになっている。

特別な場所での特別な生活

本住宅は神社の横という特別な場所に建てられた。そこでは場所が持つ意味が取りこまれ、景観を乱すことのない心地良い空間を実現している。また家の空間だけでなく、生活の中にも神社やそこに広がる森との関係を意識できるようになっている。このような本住宅は特別な場所に建つ意味が強く意識されている。だからこそ、ここでは他の家にはない特別な生活を送ることができるに違いない。

写真:多田ユウコ

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