家に住むのは大人だけでない。家族が住む家では子供も一緒に住むことになる。だがその多くは大人の目線だけで建てられているだろう。それは大人の価値観に立ったもので、子供の可能性を狭めることになるかもしれない。そこで紹介したいのは子供の目線に立った家。子供たちが家に住むことを楽しめる5軒の家を紹介したい。
建築士事務所あとりえが建てたのは「すべり台の家」。その名の通り2階から1階のリビングルームへとすべり台が設けられている。それは飾りなどではなく、実際に滑り降りることができる。そして子供たちにとっては絶好の遊び場となる。もちろん子供だけでなく、大人も童心に帰って一緒に遊ぶことができる。それは、ただ遊ぶだけでなく、家族が一緒に時間を共有することになり、家族の繋がりを生み出すことになるだろう。
松橋常世建築設計室が手がけたのは「クライミングウォールの家」。その名前のとおりリビングルームの壁にはクライミング用の壁が取り付けられている。ここでは1階から2階の移動の際に利用したり、実際にクライミングの練習ができる。家が建てられたのは北海道で、子供たちが常に外で遊べるわけでない。そのためクライミング用の壁は、外で遊ぶことができない冬に子供たちにとって貴重な遊び場となるだろう。
建築事務所be-fun designによって建てられた「ガリバ・ハウス」では、まさに子供の目線になれる空間がある。建物の中にはリビングルームがあり、その下には天井の低いガリバーゾーンと呼ばれる空間がある。高さが1,3メートルしかないため、大人であれば屈まなければならない。そして「ガリバー旅行記」の主人公が小人の国を訪れたように、全てが小さく見えるだろう。このような空間は小さい子供にとっては大人に邪魔されることなく遊ぶ場所となる。ここでは誰もが子供の目線となり、子供のことを考えることができるだろう。
多くのリノベーションを手がける株式会社エキップが生み出したのは子供の成長に対応できる家。これは築40年以上が経つマンションで、リノベーションする際に子育てのことを考えてデザインされている。子供部屋はリビングルームと繋がった空間。そのためリビングルームは広く使え、子供の様子を確認することができる。だが子供が中学校に入れば、部屋には防音壁が設けられて、勉強に集中できるようになる。このように成長に合わせて変化する空間は、子供のことを第一に考えたものと言えるだろう。
ARAKAWA ARCHITECTS &ASSOCIATESが建てたのは、3人の子供と夫婦の家。子供部屋は3人の子供が使う空間となっている。そこにあるのはベッドとその下にある個別の空間。共有で使う場所となっているが、個別の空間を持つために壁で仕切られて、緑、紫、ピンク色で色分けされている。そもそも家では壁が極力作らないようにしており、家族の繋がりが感じられるようになっている。子供部屋も同様に完全に独立してはいない。そして兄妹の繋がりを保ちつつ、自分の世界が作れるように工夫された空間が生み出されている。