天井を高くすることで得られるメリットとは?

Takashi Sasaki Takashi Sasaki
ほんとのいえ, スズケン一級建築士事務所/Suzuken Architectural Design Office スズケン一級建築士事務所/Suzuken Architectural Design Office Modern living room
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天井の高さが2階分になる吹き抜けまでいかなくても、出来るだけ天井の高い住まいにしたいと考えている方も多いと思います。では、実際に天井を高くすることによって、どのような空間や暮らしが可能となるのでしょうか。そこで今回はスズケン一級建築士事務所の手がけた建物を通して、天井を高くすることで得られるメリットについて詳しく見ていきたいと思います。ただ単純に天井を高くするのではなく、今回のメリットなどをより活かすような目的を持ちながらそうした家づくりをしていきましょう!

大容量の壁面収納

天井を高くすることによって得られるメリットとしてまず挙げたいのが、壁面収納を非常に大きく設けることが可能となることです。こうした収納棚に費やす床面積は同じでも、天井が高くなるだけで、その分収納棚を垂直方向に大きくしていくことができるようになります。こちらの住まいでは、1万5千冊をを越える本のために天井いっぱいまで本棚をつくっていますが、所々に穴や隙間を開けることで、本棚が生活空間に圧迫感を与えないような工夫もなされています。

写真:畑亮

こちらの建物はスズケン一級建築士事務所が手がけた「ほんとのいえ」です。


大きな開口による明るい室内

天井が高くなるということは、その分壁面も大きくなります。それによって、大開口の窓を開けられるように窓の面積が大きくなることによる明るい室内となることもメリットの1つです。ただ窓の面積が大きくなるだけでなく、壁の高い場所に窓が開けられることから、部屋の奥まで外からの明かりが届くようなことも期待できます。また、そうした採光性だけでなく、大開口が得られることによって、外にきれいな景色があれば、素晴らしい眺望を部屋の中から楽しむこともできるようになります。

こちらの建物はスズケン一級建築士事務所が手がけた「あなたとわたしの家」です。

スキップフロアと組み合わせて開放的で効率的な空間利用

こちらの住まいのように、天井の高い大きな空間の中でスキップフロアを取り入れながら、空間を完全に閉じるような間仕切り壁なしで複数のフロアを設けることにより、視線や光が抜けていく開放的な空間となると同時に、効率的な空間利用が可能になります。また、仕切りがなくても段差によって空間が緩やかに区切られたりつながったりすることから、それぞれのフロアでの居心地の良さもきちんと確保されますし、家のどこにいても家族とコミュニケーションを図れたり、家族の気配を感じることができるような家族団欒の住まいともなります。

写真:上田宏

こちらの建物はスズケン一級建築士事務所が手がけた「板の家」です。

天井のデザインにもこだわれる

天井が低い場合、多くが平坦な天井面になりますが、天井が高いことで、天井面を傾斜させたり、屋根の小屋組みをインテリアに取り込んだり、あるいは大きなランプシェードを選んでも視線の邪魔にならないような照明デザインも含めて、天井のデザインによりこだわっていけることも魅力の1つだと思います。こちらの住まいでは、既存部分と増築部分の境目にトップライトを設けて室内を明るくしているとともに、増築側の天井面がきれいな弧を描きながらトップライトへと上がっていく形は、天井が高いからこそ可能となるデザインでもあります。

写真:Eugene Makino / united LIGHTs

こちらの建物はスズケン一級建築士事務所が手がけた「光カーテンのある家」です。

上下の階の距離感が近づく

上の階まで続くような天井の高さにすることで、上下の階の距離感が近づくこともメリットと言えるでしょう。上と下の階の空間がそのままつながることから、コミュニケーションも取りやすくなりますし、家族の気配も感じられる住まいとなります。こちらの住まいでは、2階にロフトを設けていますが、この床を柱ではなく屋根から吊ることで支えながら、そこに使われている細長い丸鋼が上の階と下の階を程良い距離感に区切る役割も果たしています。

こちらの建物はスズケン一級建築士事務所が手がけた「あなたとわたしの家」です。

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