皆さんは外壁の色って意識されていますか?憧れのマイホーム、内装や家具選びなどのインテリアにはしばしば目が行くものですが、外壁について考えることは、比較的少ないのではないでしょうか。とはいえ、家を建てたりリノベーションしたりする場合に、一度は問題として挙がるのが外壁の色。家の顔ともいえる外壁、やはり選び方にもこだわりたいものです。今日はいろいろな外壁の色を持つファサードを例として外壁の色選びについて考えます。
渋い焼杉板の外壁は、純和風をアピールします。こちらのお宅では、屋根から外壁、雨戸に樋まで同系色でまとめ、明るい色の窓の木枠と土壁のファサードでアクセントをつけ、外壁に動きを出しています。全体的にこげ茶色でまとめられている外壁ですが、真っ黒の壁は意外にも汚れが目立つのだとか。こちらのように天然素材の色が使われていると、経年変化があっても味となってくれそうです。
外壁の色を決めるときに気を付けなければならないことはたくさんありますが、まずは近辺の家をよく見ること。極端な例ですが、赤い家がいい!と思っても、隣の家が真っ青だと、街の景観を損ねます。また、色見本を見るときには、なるべく太陽光の下で見ましょう。電気の下で見る色と違って見えることに驚くはずです。色見本でよいと思っても、家全体がその色で塗られると、印象が違って見えることも。1平方メートルくらいの大きさで試し塗りしてみることも大切です。
さらに、同じ色でも素材感が違うと色の印象も変わります。こちらのお宅はシルバーの波板貼りですが、同じ色味の土台のコンクリートとでは明らかに差が。
白い壁の家ってかわいらしいですよね。ただ、やはり白い壁は汚れが心配だったりもします。それでも白を選ぶ場合には、水垂を避けるための工夫を施すことが大切です。軒をしっかりと出すことや、雨水が壁を伝わないようにサッシなどを選ぶこと。さらには外壁の素材を適したものに選ぶことが、長く美しい白い家を楽しむためには肝要になってきます。こちらは、大阪の建築家・Coil松村一輝建築設計事務所による古い長屋をリノベーションしたお宅です。確かにどこか懐かしいような印象がありますが、真っ白な屋根やファサードに、明るい木の玄関、その隣の大きく開かれた窓がモダンな家にアップグレードしてくれているようです。
Photo: 増田 好郎(ますだ よしろう)
単調な色合いではなく、ちょっとした個性を主張したい方には、ツートンカラーにしてみるのはいかがでしょうか。こちらのお宅では、ファサードの大部分がダークブラウンの鋼板の波板でコーティングされていますが、玄関周りは白い左官塗りと木を使っており、とても明るくメリハリの効いた外壁になっています。玄関の軒は窓のサッシと色合わせがされており、きりっとしたアクセントに。ツートンカラーにする場合には、半々ではなく、6対4や7対3くらいの割合にするのがおすすめ。色の取り合わせも、調和がとれたものにするとまとまりが生まれます。
遠くから見てもすぐわかる目印のような外観は、友人などを招くときにも便利ですよね。こちらのお宅は、個性的な藍色の外壁。はっと目を引く色合いですが、玄関のドアや雨戸、庭の柵にウッディテイストを取り入れ、雨どいは壁よりも少し濃いめの色に、窓枠や軒天を白くすることで、個性的でありながらもまわりと調和するような色の取り合わせができています。すぐ隣の家が白い外壁なのも、個性的ながらまとまりのある街角になっているのではないでしょうか。
昔から使われている素材は、やはり景観にもしっくりくるもの。こちらのお宅はレンガ造りのファサードです。玄関周りは濃いめの色の木製でまとめられており、窓枠は白、雨どいは屋根と同じ色で統一されています。建物自体はヨーロピアンスタイルですが、そのあたたかな色のファサードは、景観とも調和していますね。モザイクを思わせるようなレンガの貼り方は個性的で、庭の草木ともうまくマッチしています。